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AIアナウンサーとラジオの相性ってどう?導入すべき理由とリアルな実践事例を紹介

AIアナウンサーと聞いてどんな仕事をイメージしますか。

無表情で案内するロボット?それとも「お風呂が沸きました」「ご飯が炊けました」のように抑揚のない声のお知らせ?

AIが進化すると人間の仕事が奪われるという話をよく耳にしますが、AIアナウンサーと人間は共存可能な世界です。とくにメディアとAIアナウンサーは相性抜群。

とても興味深い「人間とAI(人工知能)が共存する世界」についてまとめました。

そもそもAIアナウンサーってなに?

テレビやラジオを通じて身近な存在になりつつあるAIアナウンサーとは、そもそもどのような存在なのでしょうか。

急成長している技術は、まるでSF映画やアニメの世界。ちょっとワクワクするようなリアルな情報を解説します。

最先端のAI技術で原稿を読み上げるシステム

AIアナウンサーは最先端の人工知能技術。正しい日本語で伝える「人間」に対しAIアナウンサーは「情報量」で役割を担います。

膨大な情報量のインプットと作業のルール化により、AIアナウンサーは正確な時間配分はもちろん、ニュース原稿の優先順位も踏まえた原稿読みが得意。

話すスピードやイントネーションも状況に合わせて学習でき、現役のアナウンサーでも発音が難しいといわれる「鼻濁音」や日本語以外の言語も難なくこなします。

実はNHKが開発した技術!

各メディアに活躍の場を広げるAIアナウンサーですが、最初の登場はNHKでした。

全国にあるNHK地方局を支援するため、人手を介さない技術として研究を進めていたプロジェクトはNHKアナウンサーの高度なスキルを技術者と連携してルール化。コンピューターが自動的に原稿を作る技術を開発しました。

原稿を読み上げる技術もNHKアナウンサーから学習し、アナウンス技術の高いAIアナウンサーが誕生。2018年になると一部のニュース番組で利用開始、4月からAIキャスター「ヨミコさん」がデビューし現在も活躍中です。

AIアナウンサーの魅力や役割

日々学習を続けるAIアナウンサーは、あらゆる場面で活躍の場を広げています。

AIアナウンサーの体力や学習能力は人間では到底無理なことも。知れば知るほど尊敬しますよ。

迅速で正確な情報発信

AIアナウンサーは大量のデータを即時に分析して原稿を読み上げます。正確さが求められるAIアナウンサーは、日本語以外も習得可能。国際的な情報発信もさまざまな言語で対応可能です。

ニュース以外にも「情報伝達の正確さ」が重要視される駅やショッピングモールなど、AIアナウンサーが日本語と外国語をアナウンスする場面が増えてきました。

コールセンターの音声案内や、行政の電話対応もAIアナウンサーの導入が進んでいます。

24時間365日稼働で効率的な「働き方改革」

AIアナウンサーは24時間365日休まず働くことが可能ですが、同じことを人間に強いることはできません。

現在の放送局はいつ入ってくるかわからない臨時ニュースのために、アナウンサーを始め放送局スタッフは交代で24時間待機する必要があります。24時間交代の勤務体制にAIアナウンサーを導入することで、人間らしい生活を取り戻す働き方が期待されます。

また疲労や言い間違えのないAIアナウンサーは、その特性を活かしてイベントや商業施設など同じことをくり返し伝える業務の活躍も目立つようになりました。

しかもAIアナウンサーは簡単な操作で指示を出すことが可能。簡単かつ信頼性の高い働き方改革が目指せます。

メディアで活躍中のAIアナウンサー紹介

実際に活躍しているAIアナウンサーを紹介します。なんと現在はAIアナウンサーを専門に扱う事務所まで。

個人で導入できるアナウンサーもいるので参考にしてください。

ニュースのヨミコさん

引用元:NHKニュース公式X

先の項目で少し触れたNHKが開発したAIアナウンサー「ニュースのヨミコさん」さんです。

なんとなく親しみあるヨミコさんのフォルム、デザインしたのはカプセルトイで大ブームを起こしたコップのフチ子さんでおなじみ「タナカカツキ」さん。

ヨミコさんは、より多くの人に番組とニュースを深く知ってほしいと願いを込めて開発されました。

ニュースの原稿読みはもちろん、番組中に寄せられたSNSのコメントを紹介するなど大活躍。また、AmazonEchoやGoogleアシスタントでヨミコさんを呼び出して、聞きたいニュースを読んでもらうサービスも好評です。

荒木ゆい

引用元:株式会社Spectee公式X

株式会社Spectee(スペクティ)所属の「荒木ゆい」は栃木県出身のフリーアナウンサー、テレビやラジオ、イベント司会など広く活躍中しています。

実際のアナウンサーが読み上げた10万件の原稿と音声データを学習しており、ニーズに合わせた調整が可能。ネット環境さえあればIT知識がなくても簡単に音声データの作成が可能です。

所属会社の株式会社Specteeは、AIなど最先端のテクノロジーを活用した防災や危機管理関係の技術開発の会社。防災管理、危機管理意識を少しでも持ってほしいと、学校やメディアなどあらゆる場面に技術提供を行っています。

iina

引用元:TVH公式

2023年11月に導入された「iina(いいな)」はテレビ北海道(TVH)で起用したデジタルヒューマンアナウンサーです。

地上波テレビ放送初といわれるiinaは、すでにお天気キャスターとしてレギュラー番組をもつ期待の新人。毎週土曜日の午前11:00~11:30放送の情報番組「スイッチン!」に出演中です。

多言語をかまずに話せるという特技を持ったiinaは、災害時に安定した情報供給を目標として日々学習しています。

なんでもこなしそうなiinaですが、唯一「食リポ」が苦手のようです。

バーチャルアナウンサー事務所「aicocono」

AIアナウンサーにも専門事務所「aicocono」が存在します。

音声技術の会社「株式会社エーアイ」がプロデュースするアナウンサーは原稿さえあれば、誰でも簡単に音声を作ることが可能であらゆる場面で活躍中。

所属アナウンサーは、画像左より

胡紋仙児(こもんせんじ)、文野一成(ふみのいっせい)、三園綾音(みぞのあやね)、廣田アスナ(ひろたあすな)、白鳥茉莉(しらとりまり)の5名。

株式会社エーアイ専属アナウンサーは声の仕事はもちろん、表情の豊かさも大きな特徴です。

ラジオとAIアナウンサー今後の課題

ラジオとAIアナウンサーが共存するために、超えるべき課題があります。

情報発信するメディアにとって「信頼」は大切な財産。お互いを理解し協調することで生まれる安心感は、情報を受け取る側にも寄り添ってくれます。

リスナーとパーソナリティ、そしてAIアナウンサーの信頼関係をどう構築するか、これからも追及していくべき課題です。

AIアナウンサーと相互理解

AIアナウンサーと人間の大きな違いは「感情表現」。人間の喜怒哀楽を瞬時に表現できないAIアナウンサーのコミュニケーションは限定的です。

ラジオのいいところはリスナーとアナウンサーやパーソナリティーとの距離感です。日々進化を遂げるAIアナウンサーは、感情すら人間を超える日がくるかもしれません。

お互いを認め合うことで、提供できるジャンルがどんどん増えていくことを期待します。

AIアナウンサーと災害対応と導入事例

災害発生時は地域全員が被災者、安全確保が第一です。インターネットが普及した今、災害対策としてAIアナウンサーの導入が進んでいます。

働く場所や時間に制限がある人間に対し、AIアナウンサーは24時間即座に対応可能。冷静な語り口調で伝え続けるAIアナウンサーと、臨機応変に対応できる人間とタッグを組むことで正確な情報と安心感を届けてくれます。

実際の導入事例をみてみましょう。

エフエム和歌山「ナナコ」

AIアナウンサーを導入した災害放送システムの事例として注目を集めているのがBananaFMの愛称で親しまれているコミュニティFM「エフエム和歌山(87.7MHz)」の「ナナコ」です。

ナナコの通常業務はニュースや天気予報を伝えることですが、注目されたきっかけは台風通過時に情報を提供し続けた2018年の9月でした。和歌山県は台風の上陸数(1951年〜2022年8月)が3位(データ引用:都道府県データランキング)の記録があるほど台風の多い地域です。

コミュニティFMは災害時の情報源となる役割がありますが、少ない人数で運営することが多いため夜間や早朝は無人になることが珍しくありません。ナナコは無人となった放送局から深夜1時まで地域の災害情報を提供し、全国のメディアから注目されました。

エフエム和歌山の公式サイトで2017年台風災害時の音声が視聴可能。落ち着いた声のナナコが日本語と英語で地域の停電や交通状況、避難所や被害状況など最新情報を提供しています。

FMチャッピー「詠太郎とあい」

埼玉県のコミュニティFM「FMチャッピー(77.7MHz)」は2018年よりAIアナウンサーを採用。リスナーが名付け親になり今も大活躍中です。

男性アナウンサーが「詠太郎(えいたろう)」そして女性アナウンサーが「あい」のふたりが、天気予報やニュースなどを担当しています。

新型コロナウイルス感染拡大防止にむけた入間市長のメッセージを「詠太郎」が外国人在住者にむけて、英語と中国語の翻訳放送を実施し注目を集めました。

引用元:FMチャッピー公式Facebook

神戸市の防災行政無線「荒木ゆい」

上記で紹介した「荒木ゆい」が2023年3月に神戸市の防災行政無線に採用されました。

神戸市は、コロナ禍における医療従事者の負担軽減として神戸市立医療センター中央市民病院で「検温・問診アナウンス」のスタッフとして荒木ゆいを導入。また、病院の最寄り駅で医療従事者応援メッセージのプレゼントをしていたこともあり、神戸市民の受け入れに対するハードルが低かったことも導入のポイントだったかもしれません。

NHKアナウンサー「命を守る呼びかけ」

やはりアナウンス実績といえは言葉のプロ集団「NHK」

「言葉で命を守る」ことに向き合ってきたアナウンサーの技術や経験の集大成ともいえるAIを活用した合成音声の呼びかけ文が、公式サイトで公開されています。

公開された音声は地域防災に役立てるようにこのまま活用可能。しかも地域の特徴に合わせてアレンジしてもいいという柔軟さが魅力です。

まとめ

ますます活躍が期待されるAIアナウンサーの技術は日々進化しています。しかも価格や操作方法など導入のハードルが低いことも受け入れやすいポイントです。

AIアナウンサーがいると人間のアナウンサーが不要になるといわれがちですが、それは人間のさじ加減次第。上手なすみ分けでより楽しいコンテンツになることを期待せずにいられません。

  • この記事を書いた人

マミ

ライターでラジオパーソナリティのマミです。 ただのラジオオタクです。 はがき職人(死語!)からスタートし、パーソナリティまで経験。 狭いようで深い世界。 身近な話題からマニアックなことまでわかりやすく発信します。

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