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【業界分析】世界と日本でこんなに違う?「ラジオはオワコン」説をデータと現場視点で検証してみた

「ラジオってもうオワコン(終わったコンテンツ)でしょ?」

ライターやパーソナリティとして活動していると、たまにこんな辛辣な言葉を投げかけられることがあります。
確かに、テレビやYouTube、TikTokの勢いに比べれば、ラジオは地味なメディアに見えるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。 実は「世界」という広い視点で見ると、ラジオ(音声コンテンツ)は今、ものすごい勢いで進化しているってご存知でしたか?

今回は、元ラジオ中の人が、海外と日本のラジオ事情を比較しながら、「ラジオは本当にオワコンなのか?」という疑問に、データと現場の視点で切り込んでみます。

アメリカでは「音声バブル」?市場規模の違い

まず、エンターテインメントの本場・アメリカの現状を見てみましょう。 結論から言うと、
アメリカにおいてラジオ(音声メディア)は全く「オワコン」ではありません。 むしろ、デジタル化によって新しい黄金期を迎えています。

1. ポッドキャスト市場の爆発的拡大

ラジオの記事を中心に扱うつぶあん会議。Podcast(ポッドキャスト)についてご紹介しています。
アメリカでは、ラジオ局が制作した番組やオリジナルの音声コンテンツ(ポッドキャスト)が、巨大なビジネスになっています。
通勤時間の長い車社会という背景もありますが、「Spotify」や「Apple Podcasts」での聴取が日常化しており、そこに入る「音声広告(オーディオアド)」の市場規模は右肩上がり。
トップポッドキャスターが数十億円を稼ぐのも珍しい話ではありません。

2. 「コネクテッドカー」の進化

テスラをはじめとする最新の電気自動車(EV)では、ダッシュボードが巨大なスマホのようになっています(コネクテッドカー)。
ここでは、従来のAM/FMチューナーだけでなく、ネット経由で世界中のラジオや音楽ストリーミングを聴くのが当たり前。
「ラジオ=古い機械」ではなく、「最新の車で聴くクールなメディア」として再定義されているのです。

3. ヨーロッパは「デジタルラジオ(DAB)」へ

ノルウェーやイギリスなどでは、アナログ放送からデジタルラジオ(DAB/DAB+)への移行が進んでいます。
音質が良く、チャンネル数も増やせるため、リスナーの選択肢が格段に増えています。「AMの雑音」に悩まされる時代は、海外では終わりつつあるのです。

じゃあ、日本のラジオはどうなの?

翻って、日本の現状はどうでしょうか。
「やっぱり日本は遅れているの?」と思われるかもしれませんが、日本には日本独自の「ガラパゴス的進化」とも言える面白い強みがあります。

1. 「radiko(ラジコ)」という発明

世界的に見ても、radikoのように「国内のほぼ全放送局が参加」し、「過去1週間聴き直せる(タイムフリー)」アプリは極めて珍しく、優秀なプラットフォームです。
海外では放送局ごとにバラバラのアプリを入れる必要があるケースも多い中、日本ではこれ一つで完結します。これは日本のラジオ業界が団結して作った大きな財産です。

2. 強力な「タレント文化」とSNS

日本のラジオの最大の特徴は、「お笑い芸人」や「アイドル」がパーソナリティを務めていることです。
海外のDJは「選曲のプロ」が多いですが、日本のラジオは「トークのプロ」が支えています。
深夜ラジオでの発言がネットニュースになったり、Twitter(X)のトレンド世界1位を取ったりするのは、日本特有の現象。
「推し活」の一環としてラジオを聴く若者が増えているのは、日本ならではの希望の光です。

3. 迫る「2028年問題」とAM停波

一方で、課題もあります。 設備の老朽化や維持費の問題から、2028年までに多くの民放AM局が「FM放送(ワイドFM)」へ転換しようとしています。
「AMが聴こえなくなるの?」と不安に思うかもしれませんが、これは
「よりクリアな音(FM)で聴けるようになる」というポジティブな進化でもあります。

結論:ラジオは「死なない」、ただ「着替えている」だけ

「ラジオはオワコンか?」 私の答えは、NOです。

  • 世界は、デジタル技術と広告モデルを進化させて生き残っている。

  • 日本は、radikoとタレントパワーを融合させて生き残っている。

形は違えど、「人の声が、誰かの耳に届く」というメディアの価値自体は、AIが進化しても変わらない(むしろ、孤独な現代社会でより求められている)と感じています。

日本のラジオも、今まさにAMからFMへ、そして放送から配信へと「着替え」をしている最中です。
かつてのラジオ受信機にしがみつくのではなく、スマホやスマートスピーカーで気軽にラジオに触れてみてください。そこには、オワコンどころか、最先端の「熱」があるはずです。


【マニアックな補足】

DAB(Digital Audio Broadcasting)とは?
ヨーロッパを中心に普及しているデジタルラジオ規格。
日本では地デジ化の際に導入が検討されましたが、諸事情で見送られました。
その代わりとして普及したのが、今の「radiko」や「ワイドFM」というわけです。
世界とは違うルートを選んだ日本ですが、結果的にスマホで聴く文化が根付いたのは面白い皮肉ですね。

  • この記事を書いた人

マミ

ライターでラジオパーソナリティのマミです。 ただのラジオオタクです。 はがき職人(死語!)からスタートし、パーソナリティまで経験。 狭いようで深い世界。 身近な話題からマニアックなことまでわかりやすく発信します。

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