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「ラジオはオワコン」説を検証!SNS・VTuberと共存するラジオの正体

「ラジオはオワコン」説を検証!SNS・VTuberと共存するラジオの正体

「ラジオはオワコン」と言われて久しいメディアです。

テレビ、CDやウォークマン、インターネット、ショート動画と、新しいメディアが登場するたびに終わったと言われてきましたが、今もしぶとく生き残っています。

なぜオワコンにならないのか、SNSやVTuberとの意外な共通点も交えながら、ラジオオタク目線で考察していきます。

ラジオはオワコンと言われる歴史的背景

ラジオはオワコンと言われる歴史的背景

「ラジオはオワコン」と言われ始めたのは、昨日や今日の話ではありません。

テレビの登場やインターネットの普及、ショート動画の爆発的な人気により何度もオワコンの危機を迎えてきました。

しかし、その度にラジオは形を変えながら生き残っています。

今もなお、静かに生き残っているラジオの歴史的背景を見てみましょう。

テレビの登場で映像が見えないラジオは終わる

1925年にNHKがラジオ放送を開始する前は、一家に一台あるメディアとしてラジオは親しまれていました。

とくに戦時中は、戦況を伝えるメディアとして情報の命綱とも言える存在だったとされています。

ところが、日本でテレビ放送が始まった1950年代になると、「ラジオは終わった」という声が一気に広がります。

映像と音声を同時に伝えるテレビは、音だけのラジオにとって圧倒的な脅威に見えたのです。

次第に広告費もラジオからテレビに流れ、ラジオ局の運営は厳しくなりましたが、目を使わずに「ながら聴き」できるメディアとして静かに生き残りました。

しかし、ラジオの「終わった」説はこれで終わりではありません。

音楽はCDやウォークマンで聴く若者のラジオ離れ

1970年代にカセットテープが普及しだすと、音楽は「自分で選んで、録るもの」「自分のタイミングで聴くもの」になり始めます。

そして、1979年にソニーがウォークマンを発売すると、音楽は「自分だけで聴く持ち歩けるメディア」へと変わりました。

1982年にCDが登場するとその流れはさらに加速し、好きなアーティストのアルバムをまるごと持ち歩けるようになった若者がラジオから離れていきました。

誰かが決めた音楽が流れてくるラジオは、自分で音楽を選びたい人にとって古く感じられたのです。

それでも「終わった」説は、まだ続きます。

インターネットの普及でラジオ終了説

1995年前後に登場したWindows95とともに、家庭にインターネットが急速に普及しました。

それまでの情報源だったテレビやラジオ、新聞と比較するまでもなく、インターネットがあればその場でコンテンツが手に入る時代に突入です。

2000年代にYouTubeが登場すると、その流れはさらに加速します。

既存メディア全体が「オワコン」と言われるなか、もともと地味な存在だったラジオの陰はさらに薄くなっていきました。

しかし、ラジオの「終わった」説は、まだ終わりません。

TikTokなどのショート動画コンテンツの普及

スマホが当たり前になった2010年代になると、TikTokをはじめとするショート動画が爆発的に普及しだします。

「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉もうまれ、コンテンツはどんどん短く、刺激的に変化します。

短時間で次々とおすすめ動画が流れ続けるショート動画は、じっくり聴くラジオと真逆の文化です。

こうして何度目かの「ラジオ終了」説が出る反面、データは「終わった」説を裏切り始めてきました。

文化放送とビデオリサーチの調査によると、Z世代のラジオ聴取率はむしろ上昇傾向にあるのです。

ラジオを「古いハコ」としてではなく、radikoで聴く音声コンテンツのひとつとして認識する若者が増えているのかもしれません。

参考:文化放送メディアナビ「Z世代のトレンド~ラジオメディア聴取実態調査とラジオのマーケティング活用~

それでも100年続くラジオの魅力

それでも100年続くラジオの魅力

ラジオの歴史と共に「オワコン」と言われ続けるラジオですが、時代を超えて愛される魅力があります。

ながら聴きの手軽さ、パーソナリティとの距離の近さ、そして災害時の信頼性。

そして現在はSNSとの相性の良さも加わり、ラジオは今もリスナーの生活にしっかりと根付いています。

100年を超える歴史とともに静かな進化を続けるラジオの魅力を、次で紹介します。

ながらメディアとして根強い

ラジオの最大の特徴であり魅力は「ながら聴き」です。

家事や勉強、通勤・通学、運動などをしながら、目も手も使わずに情報やエンタメを楽しめます。

スマホ全盛の現代でも、ラジオはアプリやSNSなどのメディアに姿を変え、「耳だけ」で聴く手軽さが改めて支持されています。

パーソナリティとの距離が近い

ラジオの魅力として、パーソナリティとの距離の近さがあります。

テレビで見るタレントは「画面の向こうの人」と感じ遠い存在ですが、ラジオパーソナリティは毎週決まった時間に語りかけてくれる「身近な存在」です。

その熱量は数字にも表れており、お笑いコンビ・オードリーのラジオ番組「オードリーのオールナイトニッポン」は2024年に東京ドームでリスナーイベントを開催しています。

発売されたチケットは即日完売し追加販売されたほか、当日のオンライン生配信チケットも販売され16万人が熱狂し、大きな伝説となりました。

また、地方のローカル局でも、パーソナリティのイベントが満員になるケースは珍しくなく、ラジオが生み出すファンとの絆の深さを物語っています。

【実体験】ローカル番組の元ハガキ職人体験記

ラジオへの投稿文化は、SNSのコメントと似ているようで根本的に異なります。

数日や数週間前に投稿したハガキのネタが読まれた瞬間、思わず姿勢を正し、テレビじゃないのにラジオを凝視してしまう(笑)

大好きなパーソナリティが自分の言葉に共感してくれる、笑ってくれる、これは、投稿と採用の時間差が生んでくれた感動です。

でも、考えてみれば「推しに届いた、反応があった!」という喜びの本質は、今のSNSにつながりのではないでしょうか。

ラジオの面白さが口コミで広がっていた時代から、今はSNSをとおしてリアルタイムに伝わり、拡散へ。

形は変わっても、「楽しさを共有したい」「反応がほしい」という気持ちは昔も今も同じ。ラジオへの投稿文化は、SNSの原型だったのかもしれません。

SNSと相性がいい

ラジオとSNS、実は非常に相性のいいメディアです。スマホやインターネットでラジオが聴けるアプリ「radiko」のシェアラジコ機能では、番組の面白かった場面をそのままSNSでシェアできます。

また、radikoでは毎月「シェアされた番組ランキング」を発表しており、世代を超えて同じ番組が上位に入ることも珍しくありません。自分の好みが思わぬ世代と一致していた、なんて発見があるのもラジオならではのおもしろさです。

そして、多くのラジオ番組がXやInstagramで公式アカウントを持ち、放送中にリスナーのSNS投稿をリアルタイムで読み上げるスタイルも定着しました。

FAXやメールでの投稿は住所や氏名の記入が必要な番組も多く、書いている間に番組が進んでしまうのが悩みどころでしたが、SNSなら思った瞬間にポンと送れます。

ハガキからFAX・メール、そして今はSNSへ。投稿のハードルはどんどん下がり、スマホひとつで番組に参加できる時代になったのです。

災害時には不可欠な情報メディア

災害大国といわれる日本において、他のメディアにはない強みを発揮するのがラジオです。

ラジオは、停電時でも乾電池で動きます。また、手回し充電やソーラー充電に対応した防災ラジオなら、電池がなくても使えます。

東日本大震災ではラジオが地域の命綱となり、その後も大規模災害のたびにラジオの重要性が見直されてきました。

スマホが普及した現在でも、バッテリー切れや通信障害に左右されないラジオの強みは健在です。

災害時のラジオについて、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
災害時にラジオが自動で起動する?その仕組みと、過去20年で命を救った起動事例を解説

一瞬で消えた音声SNS「Clubhouse」とラジオの決定的な違い

一瞬で消えた音声SNS「Clubhouse」とラジオの決定的な違い

2020年、コロナ禍で爆発的に広まった音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。声だけでつながれる新しい体験は一世を風靡しましたが、そのブームはあっという間に下火になりました。

その反面、何度もオワコンと言われながら生き残ってきたラジオとの差は一体何でしょうか。

似ているようなClubhouseとラジオの決定的な違いを、次で紹介します。

コロナ禍で一気に広がった音声SNS

2020年に新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛が続く中、「Clubhouse」が誕生しました。

声だけでつながれる音声SNSとして、著名人や経営者が次々に参入、さらに招待制という希少性も相まって爆発的に注目を集めたのは記憶に新しいところです。

声だけのリアルタイムトークという新鮮さが、コロナ禍という特殊な環境下で生まれた、まさに時代の産物でした。

iPhone限定・招待制で利用者が限定された

リリース当初のClubhouseは、iPhone限定かつ完全招待制というクローズドな仕様でスタートします。

注目度も高く、「招待してほしい」という声がSNSにあふれ、フリマアプリで売買されるほどの加熱ぶりを見せました。

かつて招待制だった「mixi」を知る人には、どこか懐かしい光景だったかもしれません。

しかし、Androidユーザーは参加すら叶わず、招待制が解除されるころにはすでにブームは下火になっていたのです。

誰でも配信できるがコンテンツの品質が安定しない

Clubhouseの参加に必要なものは、スマホ1台だけ。参加するための料金や特別な機材も不要で、誰でも気軽に「話す側」になれることが大きな魅力でした。

しかしそのハードルの低さが同時に弱点となり、人気も下火になります。

編集もなく台本もない、プロのチェックも入らない素人のトークが大量にあふれた結果、「聴くに絶えない」コンテンツが増えていきました。

ラジオには、ディレクターや編成、演出などプロの仕事により一定の品質が担保されています。

誰でも自由に話せるClubhouseが見落としていたのは、コンテンツの「品質を保つ仕組み」だったのかもしれません。

意外!?ラジオとVTuberの共通点

意外!?ラジオとVTuberの共通点

ラジオとVTuber、一見まったく異なるメディアに見えますが、「リスナー」という呼び名、ながら聴きできる雑談コンテンツ、推しのパーソナリティを応援する文化、共通点を挙げればきりがありません。

オールドメディアと最新のエンタメが、実は同じ文化的ルーツを持っていた。

そんな意外なつながりを、次で紹介します。

ファンを「リスナー」と呼ぶ文化

VTuberのファンコミュニティでよく使われる「リスナー」という呼び方、実はラジオ由来の文化です。

テレビの視聴者は「視聴者」、YouTubeは「視聴者」や「チャンネル登録者」と呼ばれますが、VTuberの配信では「リスナー」と呼ぶケースが多く見られます。

これはVTuberの配信スタイルがラジオのトーク番組に近く、ビジュアルではなく声とキャラクターで勝負するスタイルが影響していると考えられます。

「リスナー」という言葉ひとつからも、声の向こうの人物を想像して楽しむ。そんなラジオとVTuberの文化的なつながりが見えてくるのです。

ちなみに筆者もラジオパーソナリティとして顔出しをしておらず、「あなたの推しを想像してください」とリスナーに伝えています。

声の向こうを自由に想像してもらう。これもまたラジオとVTuberに共通する楽しみ方のひとつです。

ながら聴きができる雑談コンテンツ

VTuberの配信で人気なのは、実はゲーム実況よりも「雑談配信」です。

ゲーム実況は画面を見なければ楽しめませんが、雑談配信は耳だけでも十分楽しめます。

リスナーのコメントに反応しながらとりとめなく話す雑談スタイルは、まさにラジオのトーク番組と同じ構造です。

そしてどちらも「ながら聴き」との相性が抜群で、家事や作業をしながら、好きなパーソナリティの声を流しておく。雑談だからこそ見えてくる人となり。ラジオもVTuberも、その魅力の本質は変わらないのかもしれません。

推しのパーソナリティがいる

ラジオにもVTuberにも、「推し」の存在があります。

特定のパーソナリティの番組だけを追いかけ、イベントに参加し、グッズを買う。ときにはアーカイブを繰り返し視聴する。

この行動パターン、どこかで見たことありませんか?

そう、まさに推し活です。ラジオリスナーはずっと前から「推しパーソナリティ」を持ち、番組を応援してきました。

VTuberが生み出した「推し活文化」は新しいようで、実はラジオが何十年も前から作ってきた文化と本質的に同じなのです。

VTuberの魅力はラジオでもチェック!

VTuberがパーソナリティを務めるラジオ番組は、地上波でも続々と増えています。

文化放送やニッポン放送、NHKラジオ第1など主要局でもレギュラー番組を持つVTuberが登場しています。

主な番組を以下にまとめましたので、ラジオでもVTuberの魅力をチェックしてみてください。

番組名 放送局 放送時間
名取さなの毒にも薬にもならないラジオ 文化放送 毎週木曜 26:00〜26:30
樋口楓のこんな良い時間に何してんねん! 文化放送 毎週日曜 20:30〜21:00
七海うららのパラレルーム ニッポン放送 毎週日曜 25:00〜25:30
ぶいあーる!〜VTuberの音楽Radio〜 NHKラジオ第1※ 毎週土曜 21:05〜21:55

また、配信期限なしでいつでも聴ける音声コンテンツ「ポッドキャスト」で番組を持つVTuberも増えています。

各番組の詳細はradikoニュースの特集記事がありますので、ぜひチェックしてみてください。

【参考】VTuber、Virtualシンガーなどバーチャルで活躍するパーソナリティのラジオ番組|radiko news

※NHKラジオ第1はradikoでお住まいのエリアのNHKのみリアルタイムで聴けますが、タイムフリーには対応していません。聴き逃し配信はNHKのネットラジオ「らじる★らじる」をご利用ください。

まとめ:ラジオは形を変えて進化を続ける

テレビ、CDやウォークマン、インターネット、ショート動画が注目を浴びるたび、オワコンと言われながらラジオは生き残ってきました。

それはラジオが「負けなかった」のではなく、SNSともVTuberとも共存しながら、自分の役割を進化させてきたからではないでしょうか。

声でつながる文化は、形を変えながら今も続いています。

ラジオが好きな人も、VTuberが好きな人も、SNSが好きな人も、みんな同じ「誰かの声を聴きたい」という気持ちでつながっているのかもしれません。

これからも、「オワコン」と言われながら残り続けるラジオを見守り続けたいですね。

  • この記事を書いた人

マミ

ライターでラジオパーソナリティのマミです。 ただのラジオオタクです。 はがき職人(死語!)からスタートし、パーソナリティまで経験。 狭いようで深い世界。 身近な話題からマニアックなことまでわかりやすく発信します。

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